基礎知識 5

殺虫剤有効成分の概要

ピレスロイド系殺虫剤

ピレスロイドとは、天然の除虫菊乾花から抽出された殺虫成分“ピレトリン”と、これとよく似た化学構造をもつ合成化合物を総称した言葉です。その特長は、温血動物に対する毒性が低く、生体内での分解、排泄が極めて速いので慢性毒性などの心配が少ないことです。殺虫特性は極めて速効性に富み、最近では致死力の優れたものも実用化されています。また、ピレスロイドは残留、生物濃縮など、二次的環境汚染のおそれも少なく、現代社会における理想的な殺虫剤といえます。

薬剤名:ピレトリン(除虫菊エキス)

特長
  • 速効性に優れています。
  • 広範囲の害虫に有効で、応用範囲の広い薬剤です。

薬剤名:ピナミン ピナミンフォルテ

一般名
アレスリン
特長
  • ハエ、蚊に対して特効を示し、きわめて速効性です。
  • 家庭用殺虫剤として非常に優れています。

薬剤名:ネオピナミン ネオピナミンフォルテ

一般名
フタルスリン
特長
  • ピレスロイドの中でも、特に速効性に優れ、ノックダウン効果が高い。
  • エアゾールや油剤等に適しています。

薬剤名:クリスロン クリスロンフォルテ

一般名
レスメトリン
特長
  • ハエ、蚊、ゴキブリに特効を示し、速効性もあるが、特に致死効果に優れています。
  • フタルスリンと配合してエアゾール、油剤の致死効果を高めます。

薬剤名:ピナミン-D ピナミン-Dフォルテ

一般名
フラメトリン
特長
  • ハエ、蚊に対して特効を示し、非常に速効性です。
  • 蒸気圧が比較的高いため、加熱式の剤型にむいています。

薬剤名:スミスリン

一般名
フェノトリン
特長
  • 従来のピレスロイドに比べ、耐光性、水中での安定性に優れています。
  • 比較的範囲の広い害虫に速効性があり、しかも残効性もプラスされています。
  • 有機リン剤抵抗性害虫にも卓効があります。

薬剤名:エクスミン

一般名
ペルメトリン
特長
  • 光に対して特に安定で、残留効果が優れています。
  • 広範囲の害虫に有効で、特にゴキブリの駆除に最適、しかも極めて残効性に優れています。
  • 有機リン剤抵抗性害虫にも卓効があります。

薬剤名:ベーパースリン

一般名
エムペントリン(EZ・エンペントリン)
特長
  • 蒸気圧が高く常温で揮散する衣料防虫剤に適しています。
  • イガ類、カツオブシムシ類に有効です。

薬剤名:エトック

一般名
プラレトリン
特長
  • ハエ、蚊に対して特効を示し、速効性に優れています。
  • 蒸気圧が比較的高いため、加熱式の剤型に向いています。

薬剤名:プラル

一般名
イミプロトリン
特長
  • 衛生害虫、特にゴキブリに対して極めて高いノックダウン活性を有します。

薬剤名:エミネンス

一般名
メトフルトリン
特長
  • 蒸散活性に富み、常温揮散します。
  • 蚊に対する防除効果に優れます。

薬剤名:バイオスリン

一般名
トランスフルトリン
特長
  • 蒸散活性に富み、常温揮散します。
  • 蚊に対する防除効果に優れます。

薬剤名:バイスロイド

一般名
シフルトリン
特長
  • 致死効力に優れています。
  • 残効性に優れています。

有機ケイ素系殺虫剤

シラフルオフェンは、1984年に当社で発明されたもので、昆虫に対する速効性や人畜に対する低毒性といった従来のピレスロイド系殺虫剤の特長のほか、低魚毒性、化学的安定性をも兼備し、農業用、シロアリ防除用をはじめ種々の分野で実用化が進められています。特にシラフルオフェンの低魚毒性(コイに対するLC50値は100ppm以上)はピレスロイド系殺虫剤にはない優れた特長で、水稲用分野において広く使用されています。

一般名
シラフルオフェン

有機リン系殺虫剤

薬剤名:スミチオン

一般名
フェニトロチオン
特長
  • 広範囲の害虫に有効です。
  • やや遅効性ですが、残効性があります。
  • 毒性が低い。

アミジノヒドラゾン系

薬剤名:ヒドラメチルノン

一般名
ヒドラメチルノン
特長
  • 食毒専用の殺虫剤として開発されました。
  • 効果が長く持続します。

フェニルピラゾール系

薬剤名:フィプロニル

一般名
フィプロニル
特長
  • 速効性に優れます。
  • 有機リン系やピレスロイド系の殺虫剤と異なる作用により、抵抗性害虫にも優れた効果を示します。

ネオニコチロイド系

一般名
イミダクロプリド
特長
  • ニコチン性アセチルコリン受容体に結合することで、正常な神経伝達を阻害します。
  • ネオニコチノイド系殺虫剤の人に対する毒性は高くありません。

オキサジアゾール系

一般名
メトキサジアゾン
特長
  • ピレスロイドと異なる作用機作を持ち、ピレスロイド抵抗性害虫に有効です。
  • 噴霧剤やくん煙剤に使用されています。

忌避剤

薬剤名:ジエチルトルアミド

特長
  • 蚊に有効で、ローション、クリーム、スプレー剤として広く使用、高濃度のものは長時間にわたって効果が持続します。

薬剤名:タブトレックス

特長
  • 吸血昆虫ばかりでなく、ハエにも有効で、また、ゴキブリに対しても高い効果を示します。

効力増強剤(シネルギスト)

名称:ピペロニルブトキサイド、MGK-264など

特長
  • 主にピレスロイドの殺虫力を増強するために用いる物質で、それ自体はほとんど殺虫力がありません。
    また抵抗性害虫に有効な物質もあります。

防腐剤

名称:シプロコナゾール

特長
  • トリアゾール系殺菌剤で腐朽菌や病原菌の細胞膜形成を強く阻害するものと考えられています。
  • 普通物で安全性が高く、慢性毒性試験や薬理試験等でも安全性に特に問題のないことが認められています。
  • 木材腐朽菌は子のう菌類、担子菌類、不完全菌類等に属するが、シプロコナゾールはこれらの菌に対して低濃度で高い殺菌活性を示します。
  • 光、熱、酸、アルカリに安定で優れた残効性を示します。
  • 魚介類に対する毒性は低く、安全性が確認されています。