シラミ

生態と種類を知る

体長2~4mm(アタマジラミ)
シラミはオス・メス関係なく、また幼虫から成虫まで一生を通じて吸血する。
アタマジラミは人の頭髪に寄生。髪の毛の根元に卵を生みつける。成虫は1日におよそ3~4個、1ヵ月で約100個を産卵。
頭髪などに寄生しているときはすばやく動きまわるが、人から離れると運動能力は低く、羽もないので飛ぶこともできない。

日本におけるシラミ感染の歴史

戦後に大流行。ほとんど姿を消したが、昭和50年代から復活

シラミは、古くから人類にとっての厄介者でした。戦後日本の混乱期にはアタマジラミとコロモジラミが大流行し、DDT粉剤による大規模な防除が行われました。昭和20年代後半には日本にシラミ類はほとんどいなくなり、コロモジラミが媒介する感染症の発疹チフスもほぼ消滅しました(昭和32年に1例の報告のみ)。人々が毎日下着を取り替え入浴するといった衛生的な生活を送るようになったことも影響し、コロモジラミが日本で発見されることは非常にまれとなりました。現在日本で見られるシラミのほとんどは、アタマジラミです。
国内でしばらく姿を消していたアタマジラミですが、海外交流が盛んになった昭和40年代半ば頃に海外から国内に持ち込まれたと考えられています。昭和46年(1971年)にDDTやBHCなどの有機塩素系殺虫剤が安全性や環境への残留を理由に製造販売を禁止され、シラミに有効な駆除薬がなくなった影響もあり、アタマジラミは昭和50年代初頭から、幼児や小学校低学年の児童など子どもを中心に再び発見されるようになりました。
そこで昭和53年に住友化学工業(現:住友化学)が厚生省(現:厚生労働省)、国立予防衛生研究所(現:国立感染症研究所)の協力を得てシラミ駆除剤の開発に着手し、昭和56年(1981年)にシラミ駆除剤として「スミスリン® パウダー」(第2類医薬品)を開発しました。
平成10年(1998年)にはより使いやすい「スミスリン® Lシャンプータイプ」(第2類医薬品)を開発、その後KINCHOが製造販売を承継し、平成31年(2019年)には抵抗性アタマジラミにも効果を発揮する「スミスリン® シャンプー プレミアム」(第2類医薬品)を開発しています。

平成に入ってから、徐々に感染者数が上昇。ピーク時には50万人以上。

シラミ駆除剤スミスリンの登場により1980年代後半には感染者は減少したものの、平成に入った1990年代から子どもたちの間で徐々に増えていきました。子どもたちの保護者の多くがシラミを見たことがない世代であり、感染の発見が遅れがちになることが影響していたと考えらえます。2010年代には年50万人以上の感染者が発生していた年もあったと推定されます(シラミ駆除剤の市場から推定)。

コロナ禍のソーシャルディスタンスの影響で一旦激減するも、行動制限の解除以降は急に増加!感染の早期発見と適切な駆除を。

令和2年(2020年)に新型コロナウイルス感染症拡大防止のためソーシャルディスタンスの確保が求められ、人と人との間の接触機会が減少して感染経路が絶たれたことにより、アタマジラミの感染者は激減しました。令和4年(2022年)の感染者はピーク時の実に4分の1から5分の1程度になったと推定されます。
しかしながら、行動制限が解除された令和5年(2023年)から、感染者はたちどころに増加に転じており、増加の勢いはコロナ禍以前の状況に戻りました。子どものアタマジラミ感染の早期発見につとめ、シラミ駆除薬を適切に使用するなど、感染拡大防止の対策が必要です。
一方、ケジラミについても、昭和後期以降、海外との交流が盛んになるにつれて感染者は増加傾向を示していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う行動制限の影響で一旦減少したものと考えられています。

シラミの種類

500種のシラミが知られていますが、いずれも哺乳動物に外部寄生して吸血します。 人間に寄生するヒトジラミ科のシラミは、ヒトジラミとケジラミの2種類で、さらにヒトジラミは、形態とすみかの多少の違いからコロモジラミとアタマジラミの2亜種に分類されます。アタマジラミは幼児や学童とその家族の頭髪に多く、ケジラミは成人の陰毛に多く感染します。コロモジラミは現在の日本ではほぼ見られません。シラミは寄生特異性が強い昆虫で、人のシラミは人間だけに寄生し、犬のシラミが人間に寄生することはありません。

アタマジラミの感染は、髪にくっついている卵の有無で判断

アタマジラミは頭髪を掴むのにちょうど良いカギ状のツメを持っているなど、人の頭髪の中ですばやく動くために特化した進化をしています。
髪の毛から髪の毛へと動き回るアタマジラミの小さな姿を目視でとらえるのは非常に難しいのですが、動かない卵は見つけることができますので、アタマジラミに感染しているかどうかを点検するときは、髪についている卵の有無で判断します。
側頭部や後頭部、耳の後ろなどに小さく白っぽいフケのようなものがついていれば、指で毛先の方向に引っ張ってみてください。フケや汚れ(ヘアーキャスト)であれば容易に取り除けますが、引っ掛かりがあって取りにくいものはアタマジラミの卵の可能性があります。

薬が効かない!?「抵抗性アタマジラミ」

1990年代後半から世界的に頻繁に報告されるようになり、近年、日本国内でも発生が確認されている「抵抗性アタマジラミ」。これまで効いていた薬量では十分な効果を示さない、もしくは全く効果を示さない「アタマジラミ」のことです。現在は沖縄本島を中心に確認されていますが、今後、全国的に拡大する可能性があると考えられています。

アタマジラミにかかってしまったら?

もし感染してしまっても、シラミ駆除剤を用法・用量通りに使用すれば駆除できるので、慌てずに対応しましょう。
「スミスリンシャンプー プレミアム」は、シャンプーする要領でなじませ5分待つだけ。持続する細かい泡が、アタマジラミの生息する頭皮付近までいきわたり、シラミにしっかり付着するので、高い駆除効果を発揮!だから「抵抗性アタマジラミ」にも効きます。
感染部を拭いたタオルや使用した寝具は他の洗濯物と分けたり、掃除機や粘着クリーナーなどで小まめに掃除を行うことで、再感染や感染拡大を防ぐことができます。

シラミは早期発見が大切!

スミスリン®Lシャンプータイプ(第2類医薬品)、スミスリン®シャンプー プレミアム(第2類医薬品)

シラミは繁殖力が非常に強く、爆発的に数が増えていきます。早く気がついて、早く対応することが重要なのです。特に小さなお子様など、頭をくっつけて遊ぶことが多い年齢での感染率が高くなっています。日頃から頭をまめにチェックし、感染していないか確認してあげてください。
感染している家族がいれば、他の家族にも感染している可能性があります。家族全員の頭髪を点検して、シラミの卵があるかどうかを調べ、感染していれば全員同時に駆除をしてください。
アタマジラミは髪の毛と髪の毛が接触することでうつるので、頭の接触をへらす、体に触れるものを共用しない、クシやブラシ、タオルや帽子などを他の人と使い回ししないことで、感染を予防することができます!

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